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研究会の趣旨

本研究会は、人工知能学会第二種研究会として2024年4月に発足しました。

研究会の目的

近年、IoT やクラウドなどの計測・通信・情報共有プラットフォームの発展とビッグデータや機械学習などのデータの蓄積・活用技術の発展にともない、半導体、自動車・航空宇宙、鉄鋼・化学・素材、電機などの製造業では、生産や経営に関するデータを用いて製造現場の自動化・生産性向上や、企画・調達・設計・開発・製造・営業・保守などの一連のビジネスプロセスの迅速かつ柔軟な最適化を目指す「スマートマニュファクチャリング」が注目されています。

また、エネルギー、交通、通信、ビル、工場などのインフラ産業では、製造・インフラ設備や製品の稼働データを用いて異常や故障予兆を自動検知することで適切な保守アクションに結びつける Condition-Based Maintenance(CBM)に基づいた意思決定により、高信頼性と低コスト性を兼ね備えた持続的サービス提供を支える「システム健全性管理(System Health Management)」が注目されています。

これらの課題は、対象物の動作原理という観点からは機械、航空宇宙、電気・電子、土木・建築、化学・金属など領域ごとに研究が深められ、また組織(企業・公共)の活動のプロセスという観点からは、生産管理、品質管理、設備管理、サプライチェーン管理などの領域で研究や実践がされてきました。 一方、スマートマニュファクチャリングやシステム健全性管理に従事している現場では、自分たちが今まで実施してきた活動に加えて、近年収集が可能になった膨大なデータを活用するための AIに基づく方法論とツールを使いたいというニーズがあります。

そこで本研究会では、この現場ニーズに応えるために分野横断的な発表・議論の場を提供し、スマートマニュファクチャリングと健全性管理に関わる日本のコミュニティを育成するとともに、既存の学術領域を超えた新たな領域の共創を促進することを目的とします。

取り扱う研究分野の範囲

本研究会がフォーカスするデータ活用のアプローチは、データからの学習という観点からみると、データ駆動アプローチ(統計的方法)とモデル駆動アプローチ(微分方程式や数理計画など)に大別できます。 AI コミュニティが貢献できる要素技術としては、ベイズ推論や深層学習・機械学習を用いたデータ駆動アプローチが代表的です。 また、データ駆動とモデル駆動を統合し、大規模システムへの適用を容易にするための要素技術として、定性的知識表現 (因果関係知識やオントロジー:故障、設備など)の活用や、グラフィカルモデル、モデルベース深層学習などの機械学習技術も期待されます。 さらに、MAPE アーキテクチャなどのデータと知識に基づく実時間の意思決定により、製品需要、部品供給、故障損失予測などに基づいて、生産量、生産ライン計画、部品在庫量、保守計画などをスマートに決めていく方法論についても議論します。